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#20

「白心」がIWC世界一に。七賢が見据える、日本酒のこれから

IWC 2025 Champion Sake

七賢の「白心」が、IWC 2025の日本酒部門最高賞を受賞。世界一の称号を手にした、その瞬間とこれからの酒造りを、代表・北原対馬が語ります。

「白心」がIWC世界一に。七賢が見据える、日本酒のこれから
2025年9月9日、ロンドンで開催されたIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2025において、七賢の「純米大吟醸 白心」が、日本酒部門の最高賞「チャンピオン・サケ」に選ばれました。山梨県の酒蔵としては初めての受賞です。

世界一の称号を手にした、その瞬間に何を思ったのか。そして、この受賞をこれからの酒造りや、日本酒の未来にどうつなげていくのか。

七賢の代表・北原対馬が、受賞の瞬間からこれからの酒造りについて語ります。

世界の酒を評価する大舞台「IWC」

IWCは、世界のワインコンテストを母体として始まった、世界最大規模のワインの審査会です。そのなかで日本酒の審査が始まって、過去20年近くになります。これは、日本酒が「国酒」から「国際酒」へと広がっていくための、ひとつの通過点だったのではないかと思います。

日本酒を世界に広げていくためには、公平な審査によって評価されることが必要です。そういう意味で、IWCの日本酒部門は非常に重要な機会と考えていて、積極的に出品してきました。

IWCの審査には、世界から約60名の審査員が集まり、約4日間かけて審査を行います。1500銘柄ほどを、約60名の審査員が審査する。アジア系の味覚を持つ方と、欧米系の味覚を持つ方がそれぞれ30名ほど集まります。1次審査、2次審査と進み、審査員も毎年一定程度シャッフルされます。

つまり、すべてデータ分析ではなく、味覚による審査です。同じものを出したからといって、来年も取れるかというと、そういうものではないと思っています。一定程度の品質を超えたものであることはもちろんですが、その先は、かなり運による部分もあると思います。

大地と水と技術でつくる「白心」

この度、チャンピオン・サケに選ばれた「白心」は、価格的にも当社にとってのフラッグシップです。

お米についても、通常の農法ではなく、農薬や肥料を半分以下にした特別な栽培方法でつくっています。農家にとっても決してつくりやすいものではありません。白心に使っている酒米は、地元・白州で栽培している「夢山水」。蔵元から3キロほどの場所で、私たちが酒造りに使う水とほとんど同じ水で育ったお米です。

酒米「夢山水」
農薬や肥料を半分以下にすると、当然お米の収量は減ります。でも、一粒一粒が宿す大地の力、自然の力は、通常の農法で得られるものより大きいのではないかと想像しています。そうしたお米に、私たちがいま持っている醸造技術を最大限に落とし込んでいます。

さらに、白心は1年から2年近く、マイナス5度の環境で熟成させています。これによって、舌触りがより滑らかになり、とろみを感じるような味わいに仕上がっていく。また、アルコール分子が水分子に包まれるような感覚があって、アルコール度数が16パーセントでも、飲み手にはそこまで強く感じられません。

良い醸造酒というのは、ワインもそうですが、実際のアルコール度数以上にアルコールを感じさせないものに、ひとつの共通点があると思っています。舌触りや飲み心地、余韻が穏やかに感じられる。白心は、そうした感覚を持っている酒です。

白心

酒造りにかけた20年が報われた、受賞の瞬間

授賞式で、「チャンピオン・サケ」として白心の名前がコールされた瞬間は、鳥肌が立ちました。確率がゼロではないことは当然わかっていましたが、実際に呼ばれたら、やはり嬉しかったです。ここまで酒造りを続けてきたことが、ひとつ報われた瞬間でした。

その後のインタビューでは、いろいろと過去のことが蘇ってきて、やはり涙が出ましたね。

授賞式を終えてホテルに戻り、翌朝起きてみたら、LINEやメッセンジャー、メールが数百通。本当に冗談かと思うくらい届いていました。日本では時差の関係もあって、一気に広がったのだと思います。

約20年、日本酒業界に身を置きましたが、ここまで反響をいただいたのは過去一番でした。返信だけでも何日もかかったほどです。反響自体は1ヶ月近く続きました。

授賞式

受賞はゴールではない。次の未来へ

チャンピオンを取ったからといって、基本的にやることが変わるわけではありません。これまで私たちがやってきたのは、日本酒の文化的な価値をつくっていくこと。そのためのエンジンの馬力や排気量が、今回の受賞によって大きくなったという感覚です。

日本酒は「国酒」として認められていますが、これから「国際酒」として認めていただくための旅が続いていくのだと思います。これは当社だけではなく、日本酒業界全体の話です。日本だけでなく、世界各国で日本酒が飲まれる時代が、もう間もなく来なくてはいけない。そのための種まきをしているのが、我々の世代なのだと思います。

もちろん、国内のお客様を大切にしながら、海外のお客様もしっかり増やしていく。それは当然必要なことです。ただ、チャンピオンを取ったから新しいことを始めるのではなく、これまでやってきたことのスピードが速まったに過ぎません。

現場の意識としては、チャンピオンを取ったからこそ、恥ずかしくないものをつくり、恥ずかしくない行動をしていこうということは、胸に刻まれました。でも、私たちは賞を取るために仕事をしているわけではありません。あくまでも10年、20年、30年後のビジョンを実現するための通過点です。だから、喜び合いながらも、もう目線は次に向かっています。

一方で、「世界一に輝いた七賢」という冠がついたことで、会社の中にも変化が生まれていると思います。醸造に携わるメンバーだけではなく、全社員にとってもそうです。実は、これから取り組もうとしている宿泊業にとっても、「世界一に輝いた七賢の宿」という冠がつくことになります。そう考えると、今回の受賞がもたらすものは、酒造りだけにとどまらないのだと思います。

何より嬉しいのは、山梨県民の皆さんにも喜んでもらえていることです。それが一つのきっかけとなり、七賢を飲んでいただけたら、本当にありがたいことだと思います。

今回、世界一になったことで、七賢だけでなく、山梨という土地にも、ひとつの誇りをつくることができたのではないかと思っています。

代表・北原対馬

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