#22
「星ノ輝」がKura Master最高賞に。七賢が切り拓く、スパークリング日本酒の未来
Kura Master 2026 President's Award
七賢の「星ノ輝 スパークリング」が、Kura Master 2026の最高賞を受賞。スパークリング日本酒の可能性とこれからの酒造りを、代表・北原対馬が語ります。

フランスのトップソムリエに認められた、その意味とは。そして、この受賞をスパークリング日本酒の可能性や、日本酒の未来にどうつなげていくのか。
七賢の代表・北原対馬が、受賞の背景からこれからの酒造りについて語ります。
フランスのソムリエたちが認めた、スパークリング日本酒の可能性
Kura Masterは、フランスのトップソムリエたちが審査を行う、日本酒をはじめとした日本のお酒のコンクールです。審査員には、フランスの国家最優秀職人章(MOF)を持つソムリエも参加しています。ワインのプロフェッショナルが日本酒を評価する場として、日本酒を国際的に広げていくうえでも重要な役割を果たしていると私は考えています。
七賢は、ここ10年ほど、スパークリング日本酒をフルラインナップで出品し続けてきました。これまで金賞や銀賞、銅賞をいただいてきましたが、今回、初めてカテゴリーの頂点に立つことができました。昨年のIWCでの受賞に続き、今回もプレジデント賞をいただけたことに、とても驚き、嬉しく思っています。
スパークリング日本酒が最高賞に選ばれたことには、大きな意味があると感じています。スパークリング日本酒は、まだ歴史の浅いジャンルです。私たちも2015年頃から、この時間と情熱を注いで取り組んできました。日本酒全体のなかで見れば、スパークリングの占める割合はまだ小さく、これから成長させていきたい領域です。
そのスパークリング日本酒が、フランスのトップソムリエたちに認められ、しかも最高賞に選ばれた。このことは、これまで積み重ねてきた酒造りに自信を持てる出来事でした。
もちろん、これで完成したわけではありません。むしろ、ようやくスタートを切ったという感覚です。これから、このジャンルをさらに磨き、広げていくことが求められているのだと思います。


日本食と出汁に寄り添う「星ノ輝」
七賢では、10種類ほどのスパークリング日本酒を取り揃えています。それぞれの酒に、どのような料理と合わせて楽しんでいただきたいかという考えがあり、それを踏まえて味わいを設計しています。
そのなかで「星ノ輝」は、最も日本食に合い、日本酒らしさを残したスパークリングとして開発しました。
目指したのは、日本の出汁文化に寄り添うことです。寿司や懐石、割烹、天ぷらといった料理はもちろん、醤油、味噌、みりん、昆布、かつお節など、日本の食文化を支える素材と合わせられる酒にしたかったのです。
もちろん、日本食以外の料理に合わないということではありません。日本酒には、さまざまな料理を受け止める幅広さがあります。そのなかでも「星ノ輝」は、日本の食と日本酒のつながりを大切にした一本なのです。
スパークリング日本酒の酒造りには、独特の難しさがあります。特に大切なのは、砂糖を添加せず、自然発酵によってアルコール度数、ガス圧、残糖度のバランスを整えること。そして、それを安定してつくり続けることです。
通常の日本酒とは異なる技術的な難しさがあり、まだ経験を積み重ねている段階でもあります。だからこそ、毎年の技術向上が欠かせません。
また、お客様の味覚や食のトレンドも変化していきます。日本酒もファッションです。いまどのような味わいが求められているのかを感じ取るようにしています。時代に合わせて味を変えればいいということではありませんが、お客様が何を求めているのかを理解しようとすることは大切です。そのうえで、自分たちの酒造りにどう生かしていくかを考える。そうした積み重ねが、品質を高めていくのだと思います。
「星ノ輝」も、発売してから今日まで、少しずつ改良を重ねてきました。今回の受賞は、そうした歩みの先にある出来事でもあります。
スパークリング日本酒を、新しい入口に
私たちがスパークリング日本酒に力を入れているのは、もっと多くの人に日本酒を飲んでいただきたいからです。
日本酒を試飲していただくと、初めて飲んだ方が「こんなにおいしかったんですね」と驚かれることがあります。日本酒の魅力を伝えるには、もっと出会いの機会をつくる努力が必要です。
いきなり「アルコール度数15パーセントの日本酒を飲んでみてください」と提案するのは、慣れていない方には少しハードルが高いかもしれません。その点、スパークリング日本酒には、炭酸の爽やかさやお米のうまみ、甘みを楽しみながら、親しみやすく日本酒に触れていただける可能性があります。まずスパークリング日本酒を飲んでいただき、そこから純米酒や純米大吟醸など、ほかの日本酒にも興味を持っていただく。そうした入口になれるのではないかと考えています。
もうひとつ、海外での広がりにも期待しています。海外では日本食のレストランが増えています。フランス料理ならシャンパン、イタリア料理ならプロセッコなど、食事の場で乾杯するお酒には、それぞれの文化に根づいたスタイルがあります。
日本食のレストランでも、日本酒で乾杯することが自然な選択肢になればいいと思っています。そこにスパークリング日本酒が加われば、新しい楽しみ方を提案できます。「星ノ輝」が乾杯の場面で選ばれるようになることには、大きな可能性を感じています。
今回の受賞によって、国内外でお客様に知っていただく機会も広がるでしょう。酒造りそのものを大きく変えるつもりはありませんが、これまで取り組んできたことを、より多くの方に伝えていきたいと思っています。宿泊事業にとっても、世界的なコンクールで評価された酒蔵の宿として、七賢を知っていただくきっかけになるはずです。
日本酒をもっと多くの人に飲んでいただくことは、酒蔵だけの話ではありません。酒米を育てる農業があり、地域の産業があり、日本の食文化があります。日本酒を世界に届けることは、そうした価値を一緒に伝えていくことでもあるのです。
こんなにおいしい日本酒があるのに、まだ飲んだことのない方がたくさんいる。そこには、大きな可能性が残されていると思います。
受賞は、長い歴史から見れば、ほんの一ページにすぎません。これからも日本酒の魅力を伝え、国内外のお客様に楽しんでいただく。そのために、私たちは酒造りを続けていきます。
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